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3分のプレゼンなら前フリは5秒でいい -マット・カッツ氏のTED名プレゼンに学ぶ-


TEDにおける有名動画の1つ、「マット・カッツの30日間チャレンジ」。NHK「スーパープレゼンテーション」でも採り上げられたと記憶しています。TEDとしてはかなり古い動画の1つ(2011年)ですが、最近、あるきっかけでこの動画を久しぶりに観る機会がありました。

※TEDよりキャプチャー

そのきっかけ云々は省きますが、動画を見て改めて気づいたのは「前フリの異様な短さ」です。ここを、我々仕事でプレゼンや説明をする機会がある人は見習うべきなんじゃないかと思っています。

冒頭は以下のようになっています。

何年か前のことですが、どうもマンネリになっていると感じて、アメリカの偉大な思想家である、モーガン・スパーロックにならい 何か新しいことを30日間試してみることにしました。アイデアはいたって簡単です。自分の人生に加えたいといつも思っていたことを取り上げ、それを30日間試しにやってみるのです。

(※余談:モーガン・スパーロックは「30デイズ」というムチャな企画をいろいろやっている人。「スーパーサイズ・ミー」で身体を張っている人でもあります。それを「思想家」と表現しているのはマット・カッツ流のジョークです)

アンダーラインの「~マンネリになっていると感じて」までが前フリで、「アメリカの偉大な思想家である~」からがもう本題です。つまり前フリは冒頭の5秒しかありません。

プレゼンに不慣れな人ほど、この「マンネリ」のくだりを延々と語ってしまいがちです。会社の仕事がどうのこうのなどと、ついマンネリがどのようなものなのかを話してしまうのです。

マット・カッツ氏はそのへんを思いっきりすっ飛ばしているので、聞き手はどんなことがマンネリになっているのだろうか?と一瞬気にはなります。しかし、ここでそれよりも大切なのはあくまで「30日間チャレンジ」という本題の部分であり、プレゼンの時間が約3分しかない以上、そこに可能な限りの時間を充てるべきです。

考えてみれば当たり前のことですが、意外とこれが難しいようです。T3では、今でこそプレゼン慣れしたメンバーが揃っていますが、6,7年前の設立当初はなかなか大変でした。1人5分ずつのプレゼンをやるのに、「この話をしようと思ったのは~」とか「先日、会社でこういうことがありまして~」などと前フリを延々と3分くらい話してしまい、なかなか本題に入らない。そして大切な本題に1,2分しか使えずに終わってしまう(あるいはタイムオーバーしても堂々と話し続ける)人が続出していました。

6月に発売された拙書「思考整理のキホン」でも、「思考整理とは不要な情報を削除し、残った情報を秩序立てる」ことであると述べました(←宣伝)。人に何かを分かりやすく伝えるうえでは、少しでもノイズ(雑音)となる情報はバッサリと大胆に切り捨てる必要があります。話し手である皆さんにとっては長時間考え抜いてきたテーマであっても、聞き手にとっては初めての情報です。少し複雑になればすぐに消化不良を起こます。本当に、想像以上に「え、そんなに?」というくらいのバッサリ感が必要です。

思考整理のキホン

ついいろいろ盛り込みたくなってしまう気持ちを抑え、「マンネリって具体的になにかなって、聴衆は思っていないかな?」などという不安のこみ上げにも負けず、「本当に伝えたいこと」にフォーカスしたプレゼン設計を目指す必要があると、私は考えています。