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企画力・営業力のない受け身な私が、単著2冊を出版できた理由


■2冊目の単著を出版しました

T3リーダーの井上です。このたび、書籍「会社では教えてもらえない 生産性が高い人の思考整理のキホン」(すばる舎)を著しました。Amazonでは6月14日より発売です。

思考整理のキホン

 

「キホン」のタイトルが示すとおり、社会人1,2年目くらいの方向けに生産的・効率的な仕事の進め方の初歩を解説した本となります。

「思考整理」と聞くと難しそうに聞こえますし、実際のところ難しめな本も多いのですが、それをできるだけ平易に解説したという点で、ちょっと珍しい本になっていると思います。役に立つノウハウを分かりやすく、編集者とタッグを組んでギリギリまで中身を磨きましたので、身近に若手の方がいましたらご紹介いただけると嬉しいです。

さて、本書は前著「外資系コンサルタントの仕事術」(明日香出版社)に次いで2冊目の単著となります。正直、「1冊出したからもう満足」と考えていたので、この状況には自分自身、大変驚いています。

本稿では、仲間の中小企業診断士や、いつか本を出したいというビジネスパーソンの方に向けて、なぜ私が2冊の書籍が出版できたのかを、参考までに記録しておきたいと思います。

 


■1冊目:「受け身」の出版だった

この2冊の書籍がどのように出版に至ったか。それは、皆さんの想像とはやや違うかもしれません。

通常は①「こんな本を出したい」という企画を考え、②それを売り込み(いくつかの出版社では企画の持ち込みを受け付けています)、③採用されると出版が実現します。

私もかつてそのようにして企画を売り込み、そして撃沈し続けました(結構自信あったのですが…)。そのうち転職したり結婚して子供ができたりでバタバタするようになり、「いつか本を出したいなあ」と思いつつもなかなか具体的なアクションが取れないままでいました。

ところがある日、知らない方から連絡が来ます。私のメアドはネットでは公開していないので、正確にはこのT3のHPの問い合わせ欄からの連絡でした。1冊目の出版社の編集者からで「コンサルタントの仕事術をまとめた書籍を作りたい。書いてもらえないだろうか」とのことでした。

以前私は、「誠ブログ」というサイトにロジカルシンキング系の記事を寄稿したことがあります。それを見て、この人なら書けそうだとのことで、連絡をくださったそうです。当時「マッキンゼー流仕事術」みたいな本が売れていましたので、その波に乗りたい意図があったのだと思います。

もちろん私はその申し出を、ありがたい話だと引き受けました。実際には、「サンプル原稿」と「目次案」を作り、それを企画会議にかけて、採用されれば出版が確定する、とのことでした。

そこで私は過去に書き溜めたブログをひっくり返してノウハウをたな卸しし、本に書けそうなネタを洗い出して整理し、それをもとに目次案を作りました。記事は1000件近く書いていたので、その引き出しが役に立ちました。

また、サンプル原稿は「序文(はじめに)」でも可、とのことでしたので、迷わずそちらを選びました。個人的には、「序文」は「読者へのプレゼン内容」であり、「出版社へのプレゼン内容」であると思っています。序文は、「これはどんな本なのか」「どこが類書と違うのか」「どんな構成なのか」「どんな人に向けて書かれているのか」などが含まれているからです。

ふつうに本文を書くよりは、序文のほうが企画会議での説得力が高いはず。そのように考えて、私は、アピール要素をふんだんに盛り込んだ序文を作成しました。

結果、企画は無事に採用されましたが、このように「目次」と「序文」を準備したことが奏功したのだと思います。

【教訓】
・著者が企画を売り込むのではなく、編集者が企画を考え、そのテーマで書ける人を探していることがある。
・編集者に見つけてもらうために、Webで記事を書いておく(私の個人ブログにもいろいろ記事をアップしていたのですが、そちらは見つけたもらえなかったようなので、できればアクセスのあるサイトが望ましいかと)
・記事は、時流やニーズをふまえたテーマ・ネタを選ぶ
・出版者から連絡が取れるように連絡先を公開しておく(迷惑メールなどを避けるため、メインのアドレス以外で)
・メモでもよいので、ふだんからネタを書き溜めておく
・「序文」を書いて企画の特徴を整理してみる


■2冊目:やはり受け身だった

1冊目が無事に出版。念願の単著が出せたこともあり、個人的には満足していました。一生に一度、自分の本を出せたら上出来ですよ、と。また、再び転職してバタバタしていたこともあり、特にもう出版や企画のアクションはとっていませんでした。

ところが半年ほど前、突然に別の出版社からの連絡が来ました。「思考整理」をテーマに分かりやすい書籍を作りたいとのことで、1冊目を読んだ編集者が「この人なら分かりやすく書いてくれそうだ」と思ってくださったそうです(なお、こちらは企画会議は済んでおり、こちらが承諾すれば出版確定という状態でした)。

つまり、2冊目を出版できた最大の理由は、身も蓋もありませんが「1冊目を書いたから」ということになります。ただ、単に書くだけではなく、ベストを尽くしてよいものを書こうとしていたからこそ、そこを見てくださる方はいたんだなと実感した次第です。

また、1冊目も実は単著として1冊目という意味であり、共著では2冊(診断士試験の参考書)書いたことがあります。どちらも素敵な仲間に恵まれ、いい仕事ができたと思っていますが、そういった実績・キャリアがあったからこそ、信頼して単著を依頼していただいたのかもしれません。

期限内に1冊=約10万字の本を書くのはかなり大変な作業です。自分は幸い、大学でのレポート地獄や過去のブログ経験で書くことには慣れていたのですが、そうであっても10万字は果てしない道のりに思えました。慣れていなければ、ネタ切れや多忙で辛くなり、途中で一度や二度は投げ出したくなると思います(実際に投げ出して信頼を大きく失った人もいるとか)。だから「本当に書ききれるのか」の見極めも、編集者にとっては大切なポイントなのかもしれません。

【教訓】
・いきなり単著を目指すのではなく、少しずつキャリアアップする
・そして、目の前の個々の仕事にベストを尽くす
・10万字書ける体力をつけておく(書いてからの見直しや修正がまた大変なのですが)

なお、このような「受け身」の出版ルートは、ゼロから自分で生んだ企画ではありませんが、執筆における自分の裁量はかなり高く、大枠さえ守っていれば自分の持ち味やノウハウをかなり盛り込めると思います。

また、編集者が依頼してくるわけですから、自分で企画を作って通すよりは出版可能性は高いと思います。出版を実現したい方で、「自分が考えた企画じゃなきゃヤダ」といったこだわりがないのであれば、このように種まきをしておくのも一案です(「受け身」なだけに、確実に依頼が来る保証はありませんが…)。

以上、出版に至るにはこのような道もあるということで記憶の片隅に留めておいていただけると幸いです。